抱き締めたい人

が、居る。
物理的に離れている事がもどかしい子。
愛しい子。
誰も言わないならあたしが言ってやる。
「もう頑張んなくっていい」って言ってやる。
それくらい、愛しい子。
頑張っている子。
どうして誰も傷を見てあげない。
どうして誰も「痛かったね」って言わない。
それは同情じゃない。
同情とは違うの。
昔、転んだ時に手を差し伸べてもらったでしょう。
「痛かったね、可哀想にね」って言われたでしょう。
それは同情じゃないの。
「私が居るからもう大丈夫よ」っていう事なのよ。
「私が見ているから、大丈夫よ」って言う事なのよ。
いつだってあたしは貴方を見てる、って。
そういう事なのよ。
それが迷惑だろうが要らない世話だろうがなんだろうが、
あたしは貴方をずっと、見ているから。
あたしが貴方の傷を、「痛かったね」って見ているから。
貴方がそれを拒絶しても、
あたしは「辛かったね、でも大丈夫よ、あたしが居るから」って言ってやる。
明らかに偽善だ。
自己満足と言わば言え。
あたしは頑張ってる奴と不器用な奴と真面目な奴を邪険に出来ないんだよ。