シロとクロの世界

あたしの中には
「白い人」と「黒い人」しか
いつの間にか存在しなくなっていた。
あたしを大事にしてくれるのは「白い人」。
あたしと距離を置こうとするのは「黒い人」。
一度でも「黒」になれば
あたしは黒い人を一生怨み、呪い、断罪する。
今のところ、あたしには家族すら黒く見える。
一度でもあたしを見捨てれば
白ですら黒に染まる。

黒はあたしを傷付ける。
だから早く死ねばいい。
世界の終わりがくればいい。
どんどん不幸になればいい。
真っ黒な世界で
あたしは一際黒く歪んでいく。
黒い人がもしも死んでしまったら
無意識に笑みを浮かべてしまうのではないだろうか。
そんなあたしは早く死んだ方が良い。
世の中にとってはあたしが1番「黒い人」なのだから。
ああダメだ。
「あいつ早く死なないかな」が癖になりつつある。
もうダメだ。
あたしはヒトには戻れない。